継続審議することが適当とされた文化資産

文化審議会文化財分科会
世界遺産特別委員会
審査結果資料(抄)

継続審議することが適当とされた文化資産

今回提案のあった文化資産のうち、次ページ以下の20件については、さらに審議を尽くすために継続審議とする。
20件の記載順は、都道府県の順番に基づくものである。
今後、それぞれの資産について主題及び構成の熟度を高めていくためには、
課題として以下に示す点を念頭において調査・審議を進めていくことが必要である。
また。提案の各地方公共団体においても、これらの課題を踏まえて、
主題及び構成について引き続き検討していくことが必要である。

1.共通課題

ア.提案書において、資産の全体像を説明する上で基本となる主題又は考え方が明確化され、
それに基づき、資産の範囲及び網羅すべき諸要素等に過不足がないか。

○資産の真実性に関しては、形態・意匠、材料・材質、位置・環境のみならず、
用途・機能、 精神・感性、技術の継承及び担い手の育成などの観点から総合的に判断することが必要である。
○資産の完全性に関しては。資産の主題が拡散することのないよう留意するとともに、
代表的な構成資産の選択に努めつつ、それらの相互の関連性及び連続性をも十分尊重して
資産構成とすべき諸要素を特定することが必要である。
○不明点又は不足事項が認められるものについては、提案した地方公共団体において
再検討及び提案書の内容変更を要する。

イ.世界的な観点から、提案資産の位置付けをどのように評価するのか。

○国内外の視点から比較研究を行い、提案資産が持つ顕著な普遍的価値の可能性について
検討することが必要である。
○①縄文文化の諸相を表す考古学的遺跡、②近代文化を背景に発展した城郭・城下町・街道・宿場町などの
都市及び集落関連の資産、③宗教・信仰に関係する山岳・島 及び巡礼道・参詣道等の資産、
④近代の重鉱工業に関する資産など、主題が類似する複数の資産については、
相互の比較又は統合に関する議論を通じて、世界的な観点からの位置付けを明確化することが必要である。
○提案した各地方公共団体においても、上記の調査研究及び検討を行う必要がある。

ウ.構成資産が多様で数多に及ぶものについては、それらの規模・性質に応じて十分な
保護措置を行う準備があるか。

○国宝又は重要文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物への指定及び
重要文化財的景観又は重要伝統的建造物群保存地域への選定等を進める上での手順を簡潔に整理し、
示すことが必要である。
○包括的保存管理計画の策定のみならず、個別の文化財に関する保存管理計画の策定に関し、
今後の方針・方向性・手順等を簡潔に整理して示すことが必要である。

エ.既登録の文化遺産との統合又は再整理が可能であるか。

○新規の登録遺産数を抑制しようとの最近の世界遺産委員会の傾向に鑑み、
既登録の文化遺産との統合又は再整理の視点を十分視野に入れ、資産構成について検討することも必要である。

2.個別の文化財資産

○松本城

高い技術により築造され、天守閣をはじめとする城郭の主要建築が残存する
わが国唯一の平城の事例として、価値は高い。
なお、現時点での個別の課題は次のとおりである。

①主題

主題及び顕著な普遍的価値について、検討が必要。
その際には、近世の大名文化を背景に形成された城郭又は城下町の観点から
本資産の位置付けを明確化するとともに、城郭のみの資産構成が適切であるのか、
あるいは城郭については既登録の「姫路城」、暫定一覧表に既記載の「彦根城」との統合が
可能であるのか等について、検討が必要。
ただし、城下町の視点から捉えた場合には、他の提案の中に主題の類似するものがある。

②資産構成

郭の堀及び土塁等の骨格を表す諸要素の保存状況、城郭と一体を成す城下町の
諸要素に対する評価の視点が必要。

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