提案書トップ次のページ

(3) 保存管理計画

@ 個別構成要素に係る保存管理計画の概要

A 資産全体の包括的な保存管理計画の概要

└ア 整備の意義
└イ 整備の目標
└ウ 整備の方法
└エ 復元の基準
└オ 復元の歴史的時期

B 資産と一体をなす周辺環境の範囲、それに係わる保全措置の概要

└ア 三の丸地域の整備
└イ 城下町の景観整備と町並み保存
└ウ 石垣の整備保存計画

@ 個別構成要素に係る保存管理計画の概要

 昭和25年より昭和30年まで文部省直轄5ヵ年計画事業により松本城天守の保存修理が完成した。昭和52年には16項目からなる「松本城中央公園整備計画」が策定され、この計画に基づき松本城天守等の整備が行なわれた。平成11年には「文化庁」及び「史跡松本城整備研究会」の指導助言により18項目に厳選した復元整備の最終完成時期を幕末維新期の松本城の姿とする「松本城およびその周辺整備計画」を策定した。 
個別構成要素に係わる保存計画の概要は下表のとおりである。

 1 国宝 天 守  昭和30年に松本城天守保存修理工事が完了し、国宝天守五棟は松本城管理事務所が保守点検に勤めている。昭和41年文部省直轄「国宝建造物保存修理工事の塗装工事」が行われ、以来文部省の指導により毎年継続して外壁下見板の黒漆による塗装ならびに月見櫓の朱塗(しゅぬり)の刎高欄(はねこうらん)の塗装を継続している。また昭和30年に設置された消火施設及び避雷針等の定期的保守管理を継続している。また、耐震にかかわる検査等を行い建物の安全性にも配慮している。
今後、保存工事以後50年を経て定期点検ならびに随意の検査をおこない保存に
万全を期する。
 2 国宝 乾小天守
 3 国宝 渡 櫓
 4 国宝 辰巳附櫓
 5 国宝 月見櫓
 6 黒門枡形  昭和35年の復興以来、門台石垣のせり出しが認められ、定期的な観測による監視体制をとっている。門台石垣のせり出しに伴う黒門二階床面のひずみがみられるので長期的な観測結果により、門台の積み直しと黒門自体の修復を行う予定。
 7 太鼓門枡形  平成11年復元竣工した。太鼓門下見板の定期的な塗り替え、及び袖塀の控柱の点検補修等により保存につとめる。また、太鼓門二階部分の門台よりせり出して造られている部分の床面沈下の状況を監視し対応する。
 8 本丸御殿跡  天守解体復元工事の際の発掘調査により遺構を確認し、平面復元標示を行う予定。
 9 二の丸御殿跡  昭和54年〜56年の発掘調査により整備し平面復元標示を行う。また、東北隅櫓及び東土塀の復元のため、平成14〜17年にかけて発掘調査を行い、今後は調査研究を重ね復元整備を行なう予定。
10 内  堀  明治10年代に松本中学校の敷地として埋め立てられた内堀南側部分の復元を行い、また、外堀と内堀を分けていた足駄塀の復元を行う予定。
11 外  堀  平成9年と18年の発掘調査により文化庁の指導を受け、現在宅地となっている南・西外堀跡を内環状北線道路拡幅改良工事との整合を図りながら復元整備を行う予定。
12 総  堀  平成15〜16年東総堀土塁跡の発掘調査を実施し、土坡(どは)の遺構を保護するため石垣改修工事を行う。
13 西総堀土塁跡  平成18年残存土塁保護のため史跡追加指定申請。一帯を史跡公園として整備する予定。

このページのトップへ


A 資産全体の包括的な保存管理計画の概要

 昭和30年文部省直轄5ヵ年計画事業により松本城天守は保存修理が完成し、その後、昭和35年には黒門の復興、太鼓門台の復元等の整備が進み、昭和52年「松本城中央公園整備計画」が策定された。この計画に基づいて昭和54年から60年に二の丸御殿跡の発掘調査と史跡公園整備がなされ、平成2年には黒門枡形の復元、同11年には太鼓門の復元がなされた。同年「文化庁」並びに「史跡松本城整備研究会」の指導助言のもとに「松本城およびその周辺整備計画を」策定してそれに基づいて保存管理につとめている。

ア 整備の意義

(ア)  松本城は日本を代表する貴重な文化財であり、人々の暮らしと文化を培ってきた。  
今後も松本市の象徴として、広く後世に引き継ぐ使命をもっている。
(イ)  松本市は文化・自然と人々の営みが有機的に調和した、日本でも有数な住みよい都市として成熟しつつあるが、中でも松本城は、市民のかけがえのない財産であり、松本市の発展を担う重要な役割をもっていることから、積極的に歴史的な景観保護と整備に取り組む必要がある。

イ 整備の目標

(ア)  整備にあたっては「松本市都市景観条例」をはじめ、関係諸規定を尊重し、市民の協力及び意識改革により、松本城と調和のとれた整備を進める。
(イ)  松本城周辺の整備にあたっては、史実に基づいた復元整備を行う。
(ウ)  旧城下町の特色である武家屋敷、町屋、小路等についても所有者及び地域住民の理解と協力を得ながら、可能な限り保存整備をする。
(エ)  松本城とその周辺の景観を維持するため、市民の合意のもとに、歴史的景観を積極的に保護する。

ウ 整備の方法

整備の方法は、諸条件に応じて次のとおりとする。

(ア)  復元による整備
(イ)  平面標示による整備
(ウ)  説明板による表示
(エ)  その他(CG等)

エ 復元の基準

(ア)  建造物・構築物の復元にあたっては、次の基準を満たすものについて整備を行う。
  a  発掘調査により遺構が確認できること。
  b  指図(設計図)または指図相当の資料があること。
  c  写真資料があること。
(イ)  堀跡について発掘により位置、規模、構造が確認できた場合は、関係住民の理解と協力を得ながら整備を行う。

オ 復元の歴史的時期

(ア) 幕末維新期の松本城の姿に可能な限り復元することを目的とする。
(イ) 景観・管理上やむを得ない場合は、歴史的環境整備について弾力的に考える。

このページのトップへ


B 資産と一体をなす周辺環境の範囲、それに係る保全措置の概要

平成11年策定の「松本城およびその周辺整備計画」では以下のように考えている。

ア 三の丸地域の整備

(ア)  三の丸地域は上級家臣団の居住地域であるので、その面影が感じられる整備を行うため
住民の理解と協力を得ながら整備・保存に努める。
(イ)  道筋や屋敷割り、役所跡などは、保存あるいは位置表示をする。
(ウ)  都市再開発、道筋の敷設または拡幅などの際、可能な限り史跡の保存に努める。

イ 城下町の景観整備と町並み保存

(ア)  建築物の高さ規制
 松本城本丸及び二の丸(外堀)内から北アルプス及び東山の優れた景観保護、松本城天守閣の存在感保持、また松本城周辺の住環境の保全を図るため、都市計画法に基づき高度地区を指定し、以下の4エリアにより景観を保持する。

◆ 松本城A(高さ15mエリア 17.2ha)松本城址風致地区(ふうちちく)(松本城二の丸)隣接または含まれ るエリア
◆ 松本城B(高さ16mエリア 6.3ha)松本城址風致地区に接したエリア
◆ 松本城C(高さ18mエリア 2.4ha)松本城址風致地区に接し松本城Bの外側のエリア
◆ 松本城D(高さ20mエリア 6.7ha)上記3エリア以外で東総堀東側のエリア

(イ)   説明板の設置
 大手門枡形など諸門跡・親町・枝町など
(ウ)

 街路・小路の整備
 善光寺街道・御徒士町・鍵の手・食い違いなど

(エ)  武家屋敷の復元
(オ)  歴史的建造物の保存
 町屋・武家屋敷など代表的な建造物
(カ)  歴史的水路・井戸の整備
 蛇(へび)川・はんのき川・紙漉(かみす)き川・辻井戸など
(キ)  史跡指定地の拡大
(ク)  十王堂の整備 4カ所
 博労町、伊勢町、餌差町、安原町
(ケ)  残存土塁の整備・保存
 土井尻残存土塁、松本市役所東庁舎南側残存土塁

ウ 石垣の整備保存計画

 史跡松本城の石垣は石垣積み技法の最も発展していく文禄、慶長、寛永の各時期の貴重な石垣が遺構と共に残っている。平成14〜15年度に史跡松本城石垣現状調査を文化庁の指導により本丸、周辺部においてに現地調査を実施し、石垣カルテ(修正箇所、破損状況、補修内容、危険度)を作成し整備保存を図っている。

このページのトップへ


提案書トップ次のページ